
バンドブームにのっかって、デビューしたスピードウェイ。ヒット曲もあり、女子人気もそこそこあるのに、なぜだかこんなのホントのロックじゃない!という葛藤で悶々とする曲を作っているギタリストの中島(銀杏BOYZ峯田くん)。
愛する彼女がいるくせに、その葛藤のはけ口を行きずりのファンに求めてしまったり。
そして辿り着く、自分の音楽への在り方。

この役は、大学時代、中島のバンドに才能を感じた彼女はボブ・ディランのレコードなどを貸したりして付き合い始めます。
キレイでロックのわかる彼女にウキウキの中島とは裏腹に、常にクールな彼女。
でも何か尋ねると、しっかりした答えが帰ってくる。

「好きよ,きみが思っているよりずっと。」
「音楽をやっていなくても好きかな?」
「じゃあ、言ってあげる。私はきみのファンとは違う、もっと上の、きみ自身のファンよ。きみの仕事は何かを追い求めること。きみが理想を追っている限り、私は好きよ、きみのこと。」

そしてファッションもお手本です。
シンプルな白のニットとか、質のいいトレンチコートに紫のストール。
それがまた、まわりのチャラついた女性たちと一線を画していて、
「自分を持っている」女性らしさがキラキラ輝いているのです。
「自分を持っている」というのはなかなか難しいのですが、まわりに左右されない=流行に流されないというのがとっても大事だと思います。

自分がいいと思うものに自信?というかうブレが無い。
たとえ他人からしたら理解不能なことだって。
そんな女性像を麻生久美子のこの役は感じさせてくれるのです。
監督:田口トモロヲ、脚本:宮藤官九郎、原作:みうらじゅん

アイデン&ティティ/trailar